前回の記事では、キッチンの電動昇降キャビネットに内蔵された「インバータ式蛍光灯」の基板を解析し、AC100V直結バイパス手術によってLED化した記録を公開しました(【保存版】電気工事DIY インバーター蛍光灯のLED化改造工事)。
今回は電気工事DIYシリーズの第2弾として、仏間の間接照明(欄間・垂れ壁裏の照明)に使われていた「グロースタータ式蛍光灯」を、器具ごと最新の「一体型LEDベースライト」へ交換した実践記録をお届けします。
(※蛍光灯の3つの点灯方式の見分け方や、それぞれに応じたLED化アプローチの体系的な判断基準については、別記事の「理論・知識整理編」にて詳しくまとめています。)

グロー式の蛍光灯やったら、グロー球(点灯管)を抜いて市販の「工事不要LED管」を挿すだけでも光るんやけどな。今回はその手を使わず、照明器具を丸ごと交換するルートを選んだで。

「工事不要」の言葉に飛びつくと、古い安定器に無駄な電力を食われ続けるだけでなく、光量不足や経年劣化による発煙リスクを抱え込むことになります。
第1章:【警告】法的要件と安全措置
前回同様、壁や天井から出ている屋内配線(VVFケーブル)を直接抜き差しして照明器具を交換する作業には、厳格なルールが存在します。
【重要】本工事における必須条件
- 法的要件: 直結式の照明器具の撤去・新設(電源線の結線作業)には「第二種電気工事士」以上の資格が必須です。無資格での施工は法令違反となります。
- 安全措置: 作業前には必ず分電盤の対象回路の「ブレーカー(配線用遮断器)」を遮断し、検電器等で無電圧を確認してから着手してください。
なぜ壁スイッチを切るだけでは危険なのか(N側スイッチ逆接続による対地電圧残存リスク等)、またなぜ資格が求められるのかという物理的根拠については、前回のインバータ蛍光灯LED化改造記事の第1章にて詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
第2章:既存照明の調査|なぜ「管交換」ではなく「器具交換」なのか?
まずは仏間の垂れ壁裏に設置されていた既存の蛍光灯器具を取り外し、内部の仕様を確認しました。


2-1. 既存器具のスペックと「10W形(FL10)」特有のジレンマ
安定器のラベル(KOIZUMI FBC-10140B-K)と蛍光管(TOSHIBA メロウZ)を確認すると、既存の照明は「FL10(10W形直管蛍光灯・管長330mm)」を使用するグロースタータ式器具(定格入力電流0.23A・消費電力13W)でした。
グロースタータ式であれば、以下の2つの方法で「既存の器具を残したまま」LED化することも可能です。
- 工事不要ルート: グロー球(点灯管)を取り外し、市販の「グロー式工事不要・10W形直管LEDランプ」をそのまま装着する。
- 安定器バイパスルート: 器具内の磁気式安定器を切り離し、ソケットへAC100Vを直結する改造を行う。
しかし、今回はこれらを選ばず、設置スペースに余裕があることを活かして「20W形相当・一体型LEDベースライト(60cm)を新規購入し、サイズアップして器具ごと交換する」という第3の選択肢を採りました。その決定的な理由は、「安定器による電力ロス」と「10W形というコンパクト規格ゆえの圧倒的な光量不足・コスパの悪さ」にあります。
2-2. 安定器を残す場合 vs 一体型LED器具への交換
安定器の銘板に記載された数値(FL10×1 / 0.23A 13W)をもとに、「グロー球を抜いてLED管を挿すだけ」の方式がいかにエネルギー効率とコストパフォーマンスの面で不利か、具体的に計算・比較してみます。
- 既存の10W形蛍光灯(現状):
蛍光管(FL10)自体の定格消費電力は「10W」ですが、安定器の銘板には「消費電力 13W(入力電流0.23A=皮相電力23VA、力率約0.56)」と記載されています。つまり、差額の「3W(全体の約23%)」は、古い磁気式安定器(鉄心と銅線のコイル)がただ発熱するためだけに無駄遣いしている電力(鉄損・銅損)です。しかも10W形蛍光管の全光束は約480〜550lm(ルーメン)しかなく、間接照明としてはかなり薄暗い状態でした。 - グロー球を抜いて10W形LED管に交換(安定器バイパスなし):
10W形相当の直管LEDランプ(単体消費電力:約5W〜6W、全光束:約500〜600lm)をそのまま挿した場合、電流は引き続き古い磁気式安定器を通過します。そのため、安定器でのジュール熱損失(約1.5W〜2W)が消えず、トータルで約7W〜8Wを消費します。さらに、1988年製造(約38年経過)の安定器の絶縁劣化による「うなり音」や「短絡発火リスク」もそのまま残ってしまいます。 - 器具一体型LEDベースライト(60cm・20W形相当)へ丸ごと交換【今回の選択】:
仏間の垂れ壁裏には十分な横幅があるため、33cmの10W形にこだわる必要はありません。今回導入した60cmの一体型LEDベースライトは、消費電力20W(元の器具+7W)でありながら、全光束は2,640lm(元の約5倍!)を誇ります。
| 比較項目 | ① 既存10W形蛍光灯 (FL10・現状) |
② 10W形LED管交換 (安定器経由) |
③ 10W形LED管交換 (バイパス工事) |
④ 一体型LED器具交換 【今回の採用案】 |
|---|---|---|---|---|
| 実効消費電力 | 13W (管10W+安定器ロス3W) |
約7W〜8W (管5.5W+安定器ロス約2W) |
約5.5W (ロスゼロ) |
20W (高効率ドライバ内蔵) |
| 明るさ(全光束) | 約500 lm | 約550 lm | 約550 lm | 2,640 lm(約5.3倍!) |
| 発光効率(lm/W) | 約38.5 lm/W | 約73 lm/W (安定器ロスで悪化) |
約100 lm/W | 132 lm/W(最高効率) |
| 1円あたりの光量 (部材コスパ) |
― | 約0.5 lm/円 (約1,100円) |
約0.45 lm/円 (約1,200円) |
約1.5 lm/円(約3倍お得) (1,750円 / クーポン1,662円) |
| 安全性・寿命 | ×(88年製安定器) | ×(安定器の寿命に依存) | △(ソケットの劣化は残る) | ◎(すべて新品・PSE認証) |

10W形(FL10)は一番小さいサイズやから、LED管単体で買っても1,000円以上するわりに、明るさが550ルーメン程度しか出えへん。
せやけど、たった数百円プラスして60cmの一体型LED器具に丸ごと変えてしまえば、1Wあたりの発光効率は「38.5 lm/W → 132 lm/W(約3倍以上)」に跳ね上がり、明るさに至っては一気に「5倍以上(2,640lm)」になるんや!

既存の安定器には「8801」の刻印があり、1988年(昭和63年)製造のものです。約40年前のトランスに電気を通し続けるのは保安上もリスクが高いですし、ソケットの樹脂も熱でボロボロに黄ばんでいるので、スペースが許すなら一体型器具へ更新するのがあらゆる面で最適解ですね。
第3章:下地の問題とアンカー施工|石膏ボードへの確実な固定
既存の照明器具を撤去すると、壁面からはVVFケーブル(単線)が顔を出しました。ここで、新しい照明器具を取り付けるための「壁面下地(ビスが効く柱や間柱)」の位置を確認します。


3-1. 中央にしか下地がない!石膏ボードへのプラグ(アンカー)打ち
調査の結果、壁の裏側にある木下地は「中央のケーブル引き込み穴のすぐ近く」にしか通っておらず、左右のエリアはすべて「石膏ボード(プラスターボード)のみ」の中空状態でした。
一方で、新しいLEDベースライトは全長約60cmあり、本体を安定して保持するためには取付金具(ブラケット)を左右に離して2箇所で固定する必要があります。一箇所は中央寄りの木下地に直接ビスを効かせることができますが、もう片方のブラケットはどうしても石膏ボードのみの場所に設置せざるを得ません。
石膏ボードにそのままビスをねじ込んでも、白い粉が崩れるだけで保持力はゼロです。そこで、固定には樹脂製ボードプラグ(アンカー)を、ドリルで穴を空けた後の石膏ボードに打ち込んでからビス止めを行いました。


今回のLEDベースライトは非常に軽量(数百グラム程度)であるため、二箇所の樹脂プラグによる拡張保持で十分な強度が確保できます。
(※なお、DIYにおける「下地の探し方・石膏ボードアンカーの選定基準」や、木材・下地に応じた「ビスの種類・太さ・長さの黄金ルール」については、以下の記事で網羅的に解説しています。壁面への取り付け作業を行う方はぜひ参考にしてください。)
- 壁下地とアンカーの解説: 【保存版】壁下地探しと固定方法|DIY初心者でも失敗しない手順を徹底解説
- ビス選定の完全ガイド: ビスの選び方を知ってDIYを成功させる方法完全ガイド
第4章:電源線の結線|「単線」と「より線」を繋ぐWAGOの活用
ブラケットの固定が完了したら、壁面から出ているAC100V電源線(VVFケーブル)と、LEDベースライト付属の電源ハーネスを結線します。
4-1. なぜWAGO(ワンタッチコネクタ)を使うのか?
ここで注意すべき電気工事上の重要ポイントが、「電線の種類の違い」です。
- 壁から出ている屋内配線(VVFケーブル): 銅線が1本の太い針金になっている「単線(1.6mmまたは2.0mm)」
- 照明器具側の付属ケーブル: 細い銅線が束ねられた柔軟な「より線(撚り線)」
前回のインバータ改造記事でも触れた通り、単線とより線を接続する場合、単線専用の差込形コネクタ(技能試験で使う一般的なもの)やリングスリーブを無造作に使うことはできません。現代のDIY・電気工事において最も確実でメンテナンス性に優れているのは、「単線・より線両対応のレバー式ワンタッチコネクタ(WAGO WFRシリーズ / JAPPY製パック等)」または「絶縁被覆付閉端接続子(CEスリーブ)」です。

今回はレバー式ワンタッチコネクタを使ったで。これなら単線もより線もワンタッチでガッチリ噛み合うし、本体が透明やから「心線が奥まで刺さっているか」「被覆を噛み込んでいないか」が一目で確認できて、施工ミスがゼロになるんや。
ストリップゲージに合わせて被覆を剥き、白線(接地側:N)同士、黒線(非接地側:L)同士をそれぞれWAGOで確実に結線します。
第5章:本体の装着と点灯確認|2,640lmの圧倒的な光量
最後に、壁面に固定した2つの金属ブラケットにLEDベースライト本体を「パチン」と押し込んでロックし、電源コネクタを本体へ差し込みます。


※ちなみに、ここは仏間の欄間(垂れ壁)の裏側にある「間接照明スペース」のため、下から見上げても照明器具本体や中央の配線は一切死角に入って見えません。そのため、結線部やケーブルが熱を持たず、かつ将来メンテナンスで取り外しやすいよう、空間に余裕を持たせて配置しています。
ブレーカーをONに戻して壁スイッチを入れると、グロースタータ式特有の「チカチカ……」という点滅のタイムラグは消え去り、瞬時に仏間全体がパッと明るく照らし出されました。

今までは10W形(約500ルーメン)の小さな蛍光灯やったから仏間が薄暗かったんやけど、一気に5倍以上の2,640ルーメンになったおかげで見違えるように明るくなったで!

電気工事士の資格を活かして、「グロー式だから工事不要LED管を挿せばいい」と思考停止せず、安定器ロスやルーメン単価を計算して器具ごとの更新を選んだのは正解でしたね。
まとめ:「直管LEDへの交換」と「器具一体型への交換」を使い分ける
前回と今回の2つの電気工事DIYを通じて、蛍光灯のLED化における明確なセオリーが見えてきました。
- 特殊形状の設備照明(電動キャビネット内蔵など):
器具ごとの交換が不可能なため、内部のインバータや安定器を回路から切り離す「AC100V直結バイパス手術+両側給電LED管」が最適解(前回の記事参照)。 - 汎用的な直付照明(間接照明、キッチン手元灯、倉庫など):
古い器具や安定器を残してLED管だけを買うよりも、1,500円〜2,000円程度で手に入る「器具一体型LEDベースライト」へ丸ごと交換してしまった方が、発光効率(lm/W)・明るさ・安全性のすべてにおいて有利。
第二種電気工事士のスキルと、下地・ビスに関する基礎知識を掛け合わせれば、家のあらゆる照明を最もコストパフォーマンスの高い方法で最適化できます。ぜひ皆さんの住環境ハックの参考にしてみてください。
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今回の工事に関連する電気工事DIYシリーズや、壁面下地・ビス選定のガイド記事をまとめています。よろしければあわせてご覧ください。
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参考文献・外部リソース
- 一般社団法人 日本照明工業会(既設照明器具のLED化に関する安全性・施工ガイドライン):
https://www.jlma.or.jp/

